大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和28年(う)303号 判決

原判決挙示の証拠に依り、原判示第一の事実、すなわち、被告人が原判示の日、原判示の場所に於て、鎌田正雄より、参議院議員選挙全国区候補者鹿島守之助のため、投票並に投票取纏め方の依頼を受け、其の報酬として、日本手拭百本(時価二千円)の供与を受けたものであることを肯認するに十分である。弁護人は、「右の手拭は『鹿島建設株式会社社長鹿島守之助』と染め抜いたものであつて、パンフレット又はポスターと同様、候補者の氏名を世人に周知せしめるため製造された宣伝用品であり、その性質上報酬たるに適しないものである。従つて、被告人は、鎌田正雄から、右の手拭を知人に頒布する様依頼されて受取つたことがあるとしても、投票並に投票取纏め方の報酬として、これが供与を受けたものではない。」旨主張するけれども、しかしながら、仮令、宣伝用品として製造された手拭であつても、それが手拭としての経済的効用を備えるものである限り、利用価格並に交換価値を有する財物であることは言う迄もなく、従つて、所論の如く、性質上報酬たるに適しないものであると言うを得ないのみならず、原判決挙示の証拠、殊に、被告人に対する検察官作成各供述調書の記載に依れば、被告人は、鎌田正雄より本件手拭百本を受領するに際し、適宜其の処分方を一任され、その幾分かを自己の所有とするも差支なき趣旨の下に、一個の行為をもつて、これが供与を受けたものであつたことを認め得べく、斯の如く、選挙運動の報酬と然らざる部分とを区別することなく、抱括して不可分的に一定数量の物件を受領した場合、該物件の全部について、公職選挙法第二百二十一条第一項第四号所定、受供与の罪が成立すること勿論であるから、原判決は事実を誤認したものでなく、また、法令の適用を誤つたものでもない。論旨は理由がない。

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